元看護師が医療ライターを始めてみた1か月のふりかえり

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医療ライター(インタビューライター)の秋浦つなぐです。

医療系記事の執筆に明け暮れていたら、ブログの更新が久しぶりになってしまいました。

引き続き納期に追われているのですが、少し時間を作って医療ライターの仕事を始めてみて1か月のふりかえりをしてみます。

6月に案件応募したうちの2社に合格

まず今、受けている仕事というのは、6月から7月にかけて応募し続けた(たしか7社くらいに応募した)うちの2社からの受注です。

最初は医療にジャンルを絞っておらず、デザイン会社やLステップ事業の広報、地方企業のオウンドメディアなど多岐に渡って関心のある案件に応募していました。

結果として、以前の看護師経験や希望の働き方、事業への共感などとマッチした2社のテストライティングを受けて合格しました。

医療ライターってどんな会社で記事を書いているの?

医療ライターというからには、医療機関専門のwebサイト制作や医療関係者へのインタビュー掲載メディアと契約して執筆しています。

秘密保持契約(NDA)を結んでいる関係上、企業名や事業名称をここに記載できないのですが

例えば、開業した医師へのインタビュー記事や、ホームページに掲載する医療系コンテンツの執筆が仕事です。

とはいっても業務委託なので、案件が発生したときに受注しています。

今は偶然に、2社からの依頼が被らないスケジュールで執筆できていますが、いずれ同じ週に納期が被ることもあるでしょう。

ちょっと身構えつつ、目の前のことに集中して取り組むことを大事にしています。

さて、直近のお仕事内容ですが、インタビュー記事と疾患記事の執筆がメインです。

詳しく解説していきますので、興味ある方はご覧ください。

インタビュー記事の執筆

まずインタビュー対象者は開業医です。

いわゆるクリニックや診療所を開設した医師に、開業経緯、今後の展望、診療方針、診療の特徴、採用の意向といったお話を伺います。

聞き取った内容をホームページに掲載すべく、読みやすく整えていきます。

誰しも医療機関のホームページをご覧になったことがあると思いますが、その内容を作っているというイメージを想像していただければ合っています。

インタビュー方法ですが、私は基本GoogleMeetを使用してオンラインで取材(許可をいただいて録音)します。

1時間半ほどの取材を終えたら、下記の手順で、WEB用の記事や雑誌版の記事を制作するのです。

・音源の文字起こし

・文字起こしを修正しトークスクリプトにする

・クライアントからの申し送り書に沿って記事構成を考える

・記事構成に沿って執筆開始

・書き終えたら表記マニュアルや広告ガイドライン、薬機法に沿って校正

・加筆や修正によって規定の文字数に揃える

インタビューの中で雑談をすることもあるため、記事にする際は書くこと、書かないこと、オフレコの内容を取捨選択する必要があります。

また文字数の規定に沿うことも念頭に置きながら、言葉足らずによる誤解を生まないよう、表現と内容に気をつけなければなりません。

そういう意味では1000文字以下の文字数が少ない記事を書く際に、少ない言葉で正確かつ必要な情報を伝えることになって難易度が上がると感じます。

しかし個人的には文字数や何かしらの制限の中でいかに表現しきれるかに熱くなれるので、楽しく取り組ませてもらっています。

疾患記事の執筆

つぎに、疾患記事についてです。

疾患記事は、医療機関のホームページやブログに掲載される記事のこと。

これまで手掛けた内容は、小児科疾患、循環器疾患、脳血管疾患、季節性の流行疾患など多岐に渡ります。

おおむね1疾患(1記事)あたり1500字~2000字のボリュームに収め、医療知識と縁が遠い方でも気軽に読める内容にまとめることを求められます。

医療論文にあるような専門用語はあまり使わないようにしますが、平易な表現をしすぎると医療機関としての権威を保てなくなってしまうので、専門用語と平易な表現のバランスも大事です。

疾患記事は、主に以下の手順で執筆しています。

・疾患名で検索する、大衆が目にする医療情報を確認する

・自前の医療参考書で調べる

・得られた医療情報が最新かどうかを確認する

・得た情報をもとにだいたいの構成を考える

・クライアント(医療機関とホームページ制作会社)からの申し送り書に沿って構成を修正する

・疾患に対してクライアント(医療機関)がどのような対応をしているか独自情報もふくめて執筆する

この執筆において、過去の看護師経験が生きた実感があります。

というのも看護師は、医師の診察を補助する役割があり、病状説明に同席し患者さまの立場に立って、医師の説明を補足する仕事も担うのです。

これまで看護師として医師の説明を理解し、適切で身近な例えや表現に置き換えて説明するスキルを培ってきましたが、そのスキルが疾患記事の制作に役立っています。

執筆の効率化のために使用したツール

一般的なwebライターと同じく、医療ライターの仕事にも納期があるため、納期に間に合うように執筆を進める必要があります。

納期は、受注日を起点として1週間~3週間ほど。

私は週4日、禁煙カウンセラーの仕事をしているので、タイムスケジュールは常に課題です。

1週間あたり執筆に使える時間は24時間未満であり、1記事1時間~4時間かかります。

7記事くらいをまとめて受注することもあるので、意外と納期ぎりぎりの納品になります。

この限られた時間の中で、執筆の効率化を図るため、クライアントの許可を得て以下のツールを使用しています。

・CLOVA NOTE(文字起こし生成AI)
・chatGPT
・BingAI

いずれも、お馴染みの人工知能です。

CLOVA NOTEでインタビュー音源を聞き取ってもらうと、一瞬で文字起こしが完了します。

ときどき誤字もありますが、音声を聞きながら自分で修正することも可能なので便利です。

BingAIでは、キーワードに沿って検索した文章、情報、競合サイトのURLをまとめてもらい、情報の精査やリサーチします。

chatGPTでは、キーワードに沿って記事のひな形を作ってもらいます。

chatGPTから活用するのは、あくまで記事の構成(タイトル)のみです。

記事に書く情報は、BingAIで知り得たものから精査した情報を組み込みます。

人工知能を使うときに心がけていることは、情報を疑い精査すること、人の目と文章で記事の温度を高めることです。

これを忘れなければ、医療記事の執筆スピードと質が格段に上がります。

なによりも、週20時間ちょっとで7記事ほどを書きあげられるのは文明のおかげ。ありがたいです。

結局、紙で読みたくなる

記事を書きあげたら、表記ガイドラインや医療広告ガイドラインに沿って、言葉に誤りがないか確認していきます。

校正と呼ばれる作業です。これが意外に神経と目を酷使します。

パソコンで校正作業もできますが、目が疲れてしまうため、私は印刷して紙で読みながら加筆修正します。

いくらか眼精疲労や見落としも防げている実感があるので気に入っている方法ですが、きっとより効率的なやり方はあるはずなので試行錯誤中です。

ちなみに表記ガイドラインとは「この言葉はひらがなで、こっちの言葉は漢字で書く」とか「この話はオフレコにする」といった細かい体裁の指示のこと。

メディアによって、表記ガイドラインはさまざまなので、混乱しないように確認と加筆修正していきます。

一方、医療広告ガイドラインには「施術のおすすめは禁止、医療系資格の名称や医療法人の書き方はこれで統一」といったことが定められています。

こちらは、行政や国も関わって定められたルールなので、法律違反にならないように遵守しなければいけません。

好きなように書けないから面白い

医療ライターの仕事に限ったことはないですが、好きなことを仕事にしているとは言え、好きなように書けるわけではないのが現実です。

メディアの運営者、所有者の要望に沿って書くということは、制限がつきまとうのは仕方のないこと。

しかし制限の中で、いかに唯一無二の豊かな表現ができるのかいう挑戦は、最もクリエイティブで好奇心が働く瞬間です。

書く仕事を始めた1年前は、さまざまな制限について苦痛に感じたこともありましたが、今ではその制限があるからこそ表現力を磨かせていただいているなと感じられます。

これからやってみたいこと

今後、医療ライターとしてやってみたいことは、一つの医療機関のホームページコンテンツ制作をまとめて担当できるようになることです。

現状はディレクターと相談しながら、ほんの一部のページ制作を任せていただいているのですが、質と制作スピードを上げてトップページから最下層ページまで担当させてもらえるように精進していきます。

そしてこのブログでは、以下の取り組みを進めていきたいです。

ありがたいことに、少しずつご依頼をいただいているので、ご協力へ感謝の気持ちを込めて、大切に言葉を綴らせていただきます。

お仕事として書く時間も、純粋に好きなこととして書く時間も、どちらも楽しみながら積み上げていきます。

fin.