事実婚でも会社の福利厚生を受けられる『提案文の作り方』

夫婦

事実婚でも会社の福利厚生を受けられるって知っていますか?

法律婚にしても事実婚にしても、会社でどのように福利厚生を定めるかは、会社で決めていいことになっているのです。

つまり現時点で事実婚に福利厚生が定められていなくても、提案次第で適用してもらえる可能性があります。

申し遅れましたが、事実婚当事者の秋浦つなぐといいます。ペンネームです。

個人事業と会社のパート職員として仕事をしているのですが、当時会社には事実婚の福利厚生に関する定めはありませんでした。

個人事業は自己責任なのでいいとしても、自己責任だけでは済まない会社の仕事を続けるにあたって、若干の不安を感じたのです。

最も心配したのは、忌引休暇の取得ができないこと。

そこで2024年2月に事実婚するにあたり、会社に直談判をして事実婚でも会社の福利厚生を受けられるように働きかけました。

その結果、下記のように認められたのです。

2024年2月 
「結婚」とは、事実婚を含むものとする。
「配偶者」とは、事実婚によるパートナーを含むものとする。

この文言が会社の規定に記されたことで、事実婚は結婚同等になり、事実婚でも会社の福利厚生を適用してもらえました。

事実婚に適用された会社の福利厚生
慶弔休暇の取得
結婚祝い金の贈与

とても寛大な配慮をいただけたことにありがたい気持ちでいっぱいです。

実のところ、お金や慶事休暇はまったく求めていなくて、必ず適用してほしかったのは忌引休暇。

夫に何かあったときに、ないことを願っていますが何が起こるか分からないのが人生です。

不測の事態に自分が対応できるように備えておきたかったので、忌引休暇の取得が認められたことで安心できました。

もし事実婚を検討している会社員やパート職員の方で、まだ会社に事実婚夫婦への福利厚生が定義されていないときは提案してみてはいかがでしょうか。

この記事では、事実婚でも会社の福利厚生を受けられるように提案方法を解説します。

事実婚でも会社の福利厚生を受けるためにすること

結論から言うと会社に事実婚夫婦への福利厚生が定められていない場合は、自ら提案していくことが欠かせません。

提案先は人事部、総務部、その他(目安箱なるもの)です。

各企業に相談先として定められている場所があるはずなので、探してみてください。

私は会社の目安箱に提案分を送りました。

もちろん提案しても通るかどうかは別の話ですが、黙って指をくわえていても時間が過ぎるばかり。

仮に通らないとしても、提案する前に諦めるのではなく、提案してから諦めたほうが納得も覚悟もできるでしょう。

実際私も「ダメで元々。仮に通らなくても一つの事例として蓄積されるわけだから、後に続く人がいたときの前例になれるなら提案する価値がある。」この心意気で行動しました。

そういったマインドを保ちながらこの記事を参考に、提案文を作ってみましょう。

提案手順①提案文のタイトルに結論を書く

はじめに提案文のタイトルに結論を書きましょう。

今回は、事実婚の福利厚生適用について検討してほしいというのが結論になりますね。

例えば下記のようなタイトルになるでしょうか。

・事実婚の福利厚生適用についてご検討願い
・事実婚の慶弔休暇適用についてご提案

このようにタイトルで結論を伝えると、会社の担当者も心構えがつきますし、提案する自分としてもこのあとの提案文を書きやすくなります。

提案手順②提案の動機、目的、意義を書く

次に、福利厚生適用について提案の動機、目的、意義を書きます。

提案の動機とは、提案しようと思ったきっかけと理由。
提案の目的とは、何のために提案したか。
提案の意義とは、企業や労働者にとってのメリット。

これらを書くと自分の思考開示ができるので、会社側が提案者の意向を理解して寄り添いやすくなるのです。

例えば下記のようになりますね。

自分のため、だけでなく全体のことも考えて提案できると尚喜ばれます。

全体を考える会社から「企業で取り組む課題」として認識してもらえるでしょう。

提案手順③事実婚の定義文、事実婚の証明書類を提案する

次に、事実婚の定義文、事実婚の証明書類を提案しましょう。

なぜかというと、会社にとっては初の検討事項になるので勝手が分からず、どのような順番で、どのような事柄について検討したらいいか迷ってしまいかねません。

そこで『事実婚に福利厚生を適用するための検討項目』を提案できると順序立てて進めてもらえたり、ほかの提案もしてくれることがあるのです。

間違っても「事実婚にも福利厚生を適用してください!」と会社に丸投げは避けましょう。

手間をおかけしていることと事実婚の当事者意識を持って、会社と一緒に取り組む姿勢を伝えてください。

さて話を戻すと、結婚同等の福利厚生を適用してもらうためには、会社として事実婚とはこういうものという定義が必要になります。

そこで下記のように検討項目を書き出しましょう。

『事実婚に福利厚生を適用するための検討項目』
下記にご提案申し上げます。
・事実婚をどのように定義するか
事実婚とは、婚姻届けは提出していないが婚姻の意思を持って同居している夫婦のことを指す。
・配偶者とは、事実婚の夫婦も含める。
・事実婚を証明する方法について
住民票を同一世帯とし、世帯主に対しての同居人の続柄に妻(未届)もしくは夫(未届)と記載し、その住民票を婚姻の証明書類とする。事実婚をした従業員に対し、住民票の提出を義務付ける。

ここまで提案できれば、福利厚生の仕組みをどう改訂したらいいか、用語の定義も検討してもらえるので親切です。

提案手順④会社への感謝で締める

最後に、検討してくれる会社への感謝で提案を締めましょう。

繰り返しになりますが、どんな意義を掲げても、元をたどれば自身のための提案が起点になっています。

会社にとって直接の利益があるかというと、利益はほぼないでしょう。

事実婚した従業員を保障しても、国から補助金がもらえるわけでも、明日から会社の売り上げが増えるわけでもありません。

強いて言うなら、従業員の希望を叶える会社になれるくらい。

つまり会社は従業員の声に耳を傾ける役割があるから、提案を検討してくれるのです。

そのことへの感謝を下記のように記載して、締めます。

この度は私事のご提案を最後までお目通しくださり、心より深く感謝を申し上げます。
会社のご事情やご意向などもあるかとお察しいたします。
追加のご相談やご確認事項がございましたら、お気軽に私までお申しつけくださいませ。
引き続き御社で働き続けられるよう工夫して参りますので、何卒ご検討の程をよろしくお願い申し上げます。

提案手順⑤事実婚する日の2か月前に提案する

提案文を作り終えたら、事実婚する日の2か月前に提案しましょう。

というのも、今までなかった仕組みを作ってもらうために時間がかかるからです。

例えば、会社の稟議へかけて検討するのに1か月、稟議の結果や決定事項と仕組みづくりが完了するのに1か月は見ておきたいですね。

そして会社へ提案したからには自分も福利厚生を適用してもらいたいと思うもの。

提案文に自分が事実婚する日を記載し、2か月前に提案することで、適用期日も配慮してくれることがあります。

実際「秋浦さんのご結婚日を伺っておりましたので、会社の福利厚生をご利用いただけるように施行日を定めました。」とご配慮いただけました。

事実婚夫婦に会社の福利厚生が適用されたときの提案文

まとめも兼ねて、実際に私が作った提案文を残します。

参考にしながらご自身に合う文面にアレンジしてみてください。

『事実婚の慶弔休暇等適用についてご提案』
お世話になっております。○○部の○○と申します。
私事ではございますが、2024年2月に事実婚の手続きをすることになりました。
今後も御社で働いていく中で、夫や家族に不測の事態が生じた際に配偶者として対応できるよう慶弔休暇などの福利厚生を賜りたく存じます。
つきましては大変お手数をおかけいたしますが、下記についてご検討いただけないでしょうか。
ーご検討いただきたい項目3つー
①事実婚の定義について
事実婚とは、婚姻届を提出していないが婚姻の意思を持って同居している夫婦のことを指す。
②配偶者に、事実婚の夫婦も含める。
③事実婚を証明する方法について
住民票を同一世帯とし、世帯主に対しての同居人の続柄に妻(未届)もしくは夫(未届)と記載し、その住民票を婚姻の証明書類とする。事実婚をした従業員に対し、住民票の提出を義務付ける。
ご提案は以上となります。
この度は私事のご提案を最後までお目通しくださり、心より深く感謝を申し上げます。
会社のご事情やご意向などもあるかとお察しいたします。
追加のご相談やご確認事項がございましたら、お気軽に私までお申しつけくださいませ。
引き続き御社で働き続けられるよう工夫して参りますので、何卒ご検討の程をよろしくお願い申し上げます。


結果は冒頭の通り、事実婚でも福利厚生を受けられることになりました。

ちなみに夫も個人事業と会社員をしていて、会社に直談判の末、福利厚生の適用を認めてもらっていました。

大事なのは、ダメもとでいいから自分のためが誰かのためになる意識と、感謝の気持ちを持って提案することです

事実婚でも会社の福利厚生を受けるためにすること
提案手順①提案文のタイトルに結論を書く
提案手順②提案の動機、目的、意義を書く
提案手順③事実婚の定義文、事実婚の証明書類を提案する
提案手順④会社への感謝で締める
提案手順⑤事実婚する日の2か月前に提案する

事実婚でも安心して生き抜くために、出来ることからトライしてみましょう。

やらずに後悔よりやって後悔。

この取り組みを夫婦ですることで同志の絆が芽生えたので、助け合う夫婦関係を作る機会にもなると思います。

事実婚夫婦とその家族を心から応援しています。

fin.