この記事では、多くの人が法律婚を選ぶ社会において、事実婚を選んだ理由を綴ります。
※内縁ではなく事実婚と表現する理由
法律上は内縁=事実婚です。
しかし内縁は「明治から昭和初期にかけて家制度があった時代に、家の当主から結婚を認められなかった人たちを事実上の夫婦としたことが起源」とされています。
そこで私たちは「誰からも結婚を反対されておらず、ふたりの意志で婚姻届を提出しないことを選んだ」ため事実婚と表現しています。
この記事で分かること(clickで読めるよ)
理由1.夫婦ともに改姓しづらい
理由2.家の都合があり改姓しづらい
理由3.家族関係に同姓は必ずしも必要ないと思うから
理由4.夫婦は平等でありたい
事実婚について深く理解したキッカケは「本」
事実婚を知らせたときの周りの反応
理由1.夫婦ともに改姓しづらい
事実婚を選んだ理由の1つめは、夫婦ともに改姓しづらいということです。
個人事業を持っているから改姓しづらい
夫婦ともに個人事業を持っていると、戸籍名が仕事に関わってくるため容易に変えられません。
例えば、登記、事業用口座、取引先との契約や納品物の名称、開業届の変更、サーバー契約、国民健康保険、国民年金、印鑑登録、納税に関することなどがあります。
ここに私生活の生命保険、損害保険、クレジットカード、口座、免許証、国家資格、スマートフォンの契約名義、会員登録系のアプリ、マイナンバーカード等が加わります。
今の法律では法律婚をすると、夫婦同姓が義務付けられているため、上記をすべて変更しなければなりません。
しかも、ふたりではなく改姓する側に名義変更をしてもらうのです。
夫も私も、どちらが変えるかという話し合いをする度に「(変えづらいなあ、変えてくれないかなあ)」という気持ちを抱くことへの申し訳なさがあります。
自分ができないことを相手にしてもらおうなんて、とても甘い考えで、それを強要される法律婚に抵抗を感じるようになりました。
理由2.家の都合があり改姓しづらい
事実婚を選んだ理由の2つめは、夫側の家の都合があり改姓しづらいということです。
夫は長男として親族や実家の相続を依頼されているので、相続に関する書類に戸籍名を書いています。
相続は法に沿って進められるものです。
改姓をしたところで法律上の相続は問題なく行われるでしょう。
それでも夫としては親族や実家からの「○○家の長男として相続してほしい、頼むよ」という一言を思い出すたびに、結婚に伴う改姓はしづらい心境になるのです。
一度は改姓を検討してくれた夫ですが、最終的には「申し訳ないが現時点で改姓できない」と判断しました。
私も、夫側の親族や両親の親切に感謝していることがあるので、純粋に尊重したいと考えています。
理由3.家族関係に同姓は必ずしも必要ないと思うから
事実婚を選んだ理由3つめは、家族関係に同姓は必ずしも必要ないと思うからです。
これは事実婚の家庭で育ったお子さんのインタビューや記事を見聞きしたときに感じたことです。
同じ名前でも仲悪い両親もいるし
仲良い両親もいるから
正直、うちの両親は名前が違うのに
仲が良いってすごいとおもう子どもとしては
youtubeより
親が仲良いいほうが大事だよ
きっとご夫婦の努力と愛のある子育てによって、お子さんもそう感じられたのでしょう。
この話を見かけたときに「そうだよね、名前が一緒かどうかより、日々の関わりと工夫が大事なんだよね」そういった共通認識を持ちました。
夫婦の絆や家族の一体感は、姓によってではなく日々の関わりで作っていけるなら、家族関係に同姓は必ずしも必要ないと判断しました。
理由4.夫婦は平等でありたい
事実婚を選んだ理由4つめは、夫婦関係は常に平等でありたいからです。
ここまでの理由を考慮すると、私たちのケースにおいて法律婚を選ぶことは、どちらかに多大な負担を負わせて成立する夫婦の形になってしまいます。
そこから始まるふたりの人生に明るさを感じられなかったのです。
互いの価値観と立場を大事に考えたとき、平等であれる在り方にしようと決意しました。
事実婚について深く理解したキッカケは「本」
以前から事実婚という言葉を聞いたことはありましたが、深く事実婚について理解したきっかけは、『結婚さえできればいいと思っていたけど / 著:水谷さるころさん』でした。
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著者の実体験を基に、法律婚と事実婚のちがい、結婚にまつわる様々な偏見、理不尽や失敗から辿り着いた事実婚というパートナーシップに関してまとめられています。
この本を読み、事実婚の仕組みや生活の築き方を学び、改姓せずに夫婦として生活していけると確信しました。
ちなみに著者の水谷さるころさんは法律婚と離婚の経験もあり、再婚としての事実婚後にお子さんを出産された1児の母です。
イラストレーターである強みを活かし、著書は漫画ベースにコラムが挟まれているため、本を読むのが苦手な方でも読みやすい一冊となっています。
余談ですが
本に登場している、さるころさんの夫さんには離婚歴があり、前妻のお子さんもいらっしゃる方。
私の夫も、離婚歴があり前妻とのお子さんがいるため、勝手ながら夫婦ともに自分へ重ねて読んでいました。
事実婚を知らせたときの周りの反応
事実婚をすると決めたあと、近しい方々へ報告をしました。
そのときの反応や印象に残っている言葉を綴ります。
双方の家族、親戚
私の家族
「分かりました。二人で決めたことなら応援します。夫婦とは運命共同体。苦楽を共にする存在です。ふたりの幸せを願います。」
「夫婦別姓が選べるようになったら本当の意味でふたりの門出ってことだね。ふたりで歩いて目指すわけだ。おめでとう。」
「これからも話し合いを大切にね。」
夫の家族
「日本でも夫婦別姓が選べるようになったらいいね。お互いを助け合って希望を持って進んでね。」
「もしもの子どものことも、きっと二人で考えて対応するんだろうからお任せします。」
仕事の関係者
私の仕事関係者
「お二人で話し合ってされた選択なんですね。おめでとうございます。改姓しないことも承知いたしました。事務的な手続きは一切ありませんので、今後ともよろしくお願いします。」
夫の仕事関係者(共通の知り合い)
「ずっと見守ってきたふたりが夫婦になるってなんか嬉しいです。事実婚っていうのも新しい時代の幕開けって感じがします。おめでとうございます。」
ありがたい言葉をいただけた秘訣
私たちは6年間の交際期間において、少しずつ互いの人間関係を良い方向へ築きつつ、自分たちはおそらく法律婚は選ばないことを伝えていました。
そのため、周りの方には驚きよりも「前から言ってたもんね」という感覚で捉えていただけたように思います。
もちろん耳が痛くなるような反応(夫婦別姓ができる海外に行けばいいのに等)もありましたが、そういった声に関しては、自分たちの姿を介して応えていければと思っています。
その行動のひとつとして、このように体験を共有しています。
いろんなパートナーシップの形があり、それぞれが尊重される社会が広がることを願って、これからも言葉を大切に伝えさせてください。